たった数分で片想いから失恋をした話

私です

 

今現在栄生です。

名鉄電車に揺られ揺られ実家に帰っているところです。

つい数分まえ、私は金山で電車待ちの列にいた。わりと前の方で、5分以上ある待ち時間をなんとなくスマホを弄り潰していた。電車待ちの数分は、何故ああも長く感じるのか。残業しまくった疲労と眠気によりイライラも最高潮である。

脳のてっぺんまで溜まってしまったイライラをなんとか崩すように大きく溜息をつき、ふと、なんとなく、後ろを向いたその時、

あらあらまあまあ!どどどどストライクの顔の男性が!そこに!

具体的に言うならば(私の大大大好きな)嶺井博希をさらに洗練させ、なんなら体もより大きくさせ、すこし老けさせた感じだ。世間一般からしたらけしてイケメンでは無いかもしれないが、何故だろう、それでも、ひどく好きな見た目をしていた。

完全にお胸がダンシングである。一瞬目があったそのわずか1秒の間、私は私の脳みそで彼にナンパをされ、食事に行き、数回デートを重ね、付き合い、2人で多くの時を過ごし、プロポーズをされ、幸せな結婚式をあげるところまでを体験した。ウェディングドレスをまといはにかむ私の横で幸せそうにほほえむ彼。これ以上ないほどの多幸感であった。

 

さきほどのイライラはどこへやら、私の心はウキウキと浮き足立っていた。後ろを振り向けば未来の旦那がいる。これ以上ないくらい危険な思考だが、まあ疲れてたんだよ許してよ。

先ほどは地獄のように長く感じられた電車の待ち時間。彼を認識してからはまるで1秒の如く短く、あっという間に電車が来てしまった。座席に座り、正面を見やると彼は(ガラガラなのにも関わらず)たっていた。凛々しい目付きで。(あら、彼ったら見た目通り、ストイックな人なのね……。そんなところも、私の心を強く強く捉えて離さないわ)

脳内のセリフがハーレクイン調になるのを抑えられない。なるべく、私史上最高にかわいい(と思ってる顔)で彼を改めて見る。怪しまれない程度に、上から下まで。体型も、顔も、何もかもが素敵であった。イケメンとかではなく。素敵であった。

 

しかし上から下まで彼を見、その数十秒後今度は下から上まで(怪しまれない程度に)見たところ、彼の左手薬指に鈍く光る銀色を見つけてしまった。そして、その瞬間、ほんとに一瞬で(あ、ハイ)と冷静になった。

誓って言おう、まっっっっったくショックではなかった。もうほんとに、気持ちが一瞬で冷静になった。いやもうこんな経験は初めてである。さっきまでのハーレクインフィーリングはどこへやらである。

 

そして彼は金山から1駅、名古屋駅で降りていった。私はそれを見て(なんだ1駅だから座らなかったのか、全然ストイックじゃねえじゃんアホらし)とぼんやり考えた。てかこれ書いてて思ったけどこの思考めちゃくちゃクソじゃない?まほりん人格障害説あるでこれ。

 

とにもかくにも私はたった数分(おそらく8分くらい)で壮大な恋愛を脳内で経験し、その後勝手に失恋して勝手にガン萎えたわけだ。

 

ある意味ではいい経験だが、今日一日で5年分老けた気がする。しかしそれでも私は嶺井博希のことがめちゃくちゃ好きである。いや本命は筒香嘉智だけど。